// 一粒の流星群 – chijou no sora

一粒の流星群

朝のニュースで言っていた 流星群が降るらしい
見頃は二十二時から 夜中の三時までらしい
少し雲が出る 見える確率は五分五分
でも なぜだろう 急に見たくなった

遅くなった帰り道 明日も早い 
迷いながら ああ五分だけ
護岸に広がる原っぱで 
寄り添う二人の邪魔にならないように
ひとり 方角も分からないまま
空を見上げた

見えない星に僕は何を願っただろう 
光の尾が消えるまでに
言えるほど短くもなく 言えないほど長くもなく

どれだけの人が流れ落ちる星たちに 
どれだけの願いを託しただろう
どれだけの願いが叶うのだろう
叶えるだろう あの星が 自らの手が


肩を落とす帰り道 明日も早い 
急ぎながら ああ少しだけ
転ばぬように気をつけながら 
五歩ごとに 一歩ごとに 振り仰いで
ひとり 方角も分からないまま
空を見続けた

たったひとつ 流れた気がした
一粒の流星群

見えた星に 僕は何を願っただろう 
光の尾が消えるまでに
言えるほど短くもなく 言えないほど長くもなく

どれだけの人が 流れ落ちる星たちに 
どれだけの願いを託しただろう
どれだけの願いが叶うのだろう
叶えるだろう あの星が 自らの手が

僕たちは
これからどこへ行くのだろう 
どこに願いを連れて行くのだろう
光の尾が消えるまでに
どんな旅をするんだろう どんな夢を見るのだろう

いまどこにいるんだろう
何を叶えたんだろう
いくつかは宇宙とひとつになって
いくつかは一緒に旅をして
そして叶うんだろう
叶えるんだろう あの星が 自らの手が

連れて帰った残像を 瞼の裏側に映して
旅に出る