// 種 – chijou no sora

何かの種を飲み込んだ
サラダに使ったレモンの種か
パンについてたヒマワリの種か
喉につかえたそいつを水で流し込んで
家を出る頃には忘れていた

いつの間にか芽が出てきた
あの時飲み込んだやつか 小鳥が落として行ったのか
水をあげると大きくなった
こんなに大きくなったのは 初めてのことだ
可愛いやつだ

レモンの木はこんなだったか?
ヒマワリに似て 似ても似つかない
花は咲いてくれるのか ちゃんと育ててやれるのか

どんな色なのか どんな姿なのか
どんな匂いを放つのか 
水は足りてるか
花が咲いたとき 僕に何ができるのか
ああ
花が咲く


バスに揺られながら
増えた葉っぱのことを考えてる
いない間にしおれやしないか お日さまの光は十分か
芽が出ないとか枯らすとか
そんな方が得意だったから
きれいな人が咲かせたきれいな花を
目の奥に飾るに留めていた

枯らして土に還ったものたちが応援してくれる
ちゃんと育ててやれよ これだけは枯らすなよと

どんな色なのか どんな姿なのか
どんな声を放つのか
育てていけるか 愛してやれるか
どんな音で弾けるか
ああ

何処からきたのか 誰がくれたのか
レモンじゃないヒマワリでもない
知らないうちに植えていた
これまでのいろいろ いろんな声が
普通で普通の大切なものが 僕が僕の手で

どんな色なのか どんな姿なのか
どんな匂いを放つのか
水は足りてるか 育てていけるか
愛してやれるか
花が咲いたとき 僕に何ができるのか
どんな音で弾けるか
ああ
花が咲く